~ 2024年3月期を終えて ~

 株主の皆様におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。また令和6年石川県能登半島地震におきまして、被災された皆様に、心からお見舞いを申しあげますとともに、皆様の安全と被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

 当期における国内経済は、新型コロナが5類に移行されてから1年が経過し、社会経済活動が正常化されるとともに、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の急増によって、緩やかな回復が継続いたしました。金融面においては、ゼロ金利政策が解除されたものの、緩和的な金融環境は維持される見込みです。ただし、足元では米国との金利差を主たる要因とする円安が進んでおり、金利の影響を比較的受けやすいと言われる不動産業を営む当社としては、米国経済の動向等を注視する必要があります。こうした中、当社グループは「利を求むるに非ず、信任を求むるにあり。変わるのは自分、お客様視点でお困りごとを解決する、期待以上で応える」という大方針の下、お客様のご満足を追求し、社会課題の解決に資する事業を進めてまいりました。

 当期の業績は、売上高79,868百万円(前年同期比3.5%減)、営業利益17,600百万円(同18.1%増)、経常利益17,374百万円(同18.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益11,917百万円(同2.6%増)となり、通期の営業利益・経常利益・当期純利益はいずれも過去最高を更新することが出来ました。中核事業である不動産再生事業は販売が順調に進捗したことにより業績を牽引し、また、不動産サービス事業は堅実に業績を伸ばしつつ、ストック型事業として安定的な収益を創出しています。さらに、リプランニング事業における物件の仕入れは過去最高となる水準まで進捗し、翌期以降の収益創出に寄与する棚卸資産を着実に積み上げています。ホテル・観光事業においては、ホテル運営事業の業績改善がインバウンド需要の恩恵もあり急速に進んでおります。ホテル開発事業では中期経営計画の最終年度となる2025年3月期、さらには次の成長を見据え、全国各地で多数の開発計画を推進し、未来の事業基盤の構築を着々と進めています。

 当社グループは、“限りある資源を活かし、新たな価値創造に挑み続け、世界一お客様に愛されるビジョナリーカンパニーを目指す“というビジョンの実現を目指し、様々な取り組みを行っております。その具体的な事例としてリプランニング事業における特徴的な取り組みを1件ご紹介させていただきます。当期に、港区三田の一棟収益オフィスビルにおいてサーキュラーエコノミー(循環経済)システムを導入し、環境に配慮したビルづくりに取り組みました。通常のオフィスにおいては入退去の度に、前テナント様が残した内装の造作や壁紙などを解体・廃棄する原状回復工事が行われ、その度に多くの廃棄物等が発生します。本物件においては、共用部に設置するソファや専有部のオフィス什器において、CARBON STOCK FURNITUREという「都市を森林の貯蔵庫に還す」ことをコンセプトにした家具を導入しました。使い回しの効く部材を利用することで、森林資源の循環利用を促進しCO2削減に貢献する取り組みです。加えて、原状回復工事において再塗装だけで済む壁紙を導入することにより、廃棄物を可能な限り削減することを目指しています。同時に全館改修で節水・節電の設備に入れ替えたこと等により、当社のリプランニング事業の商品化中の物件としては初の『CASBEE-不動産認証』Sランク、『CASBEE-ウェルネスオフィス認証』B+、『CASBEE-スマートウェルネスオフィス認証』、『BELS認証』4つ星を取得する等、専門機関からも環境に配慮したビルであることが認証された事例となりました。今後も当社は「限りある資源の無駄遣いを抑える」という企業哲学のもと、地球環境に配慮した事業を使命感もって推進してまいります。

 今年4月に創立25周年を迎えた当社グループは、現行の中期経営計画の最終年度を迎えておりますが、業績予想を開示したとおり、当初の定量目標である売上高1,000億円、経常利益200億円の達成を目指してまいります。それとともに、この度、経営理念を核に据えた、持続的な成長を成し遂げていくためには、一貫した目標の下で戦略・施策を明確にすることが大切であると考え、当社グループが目指す10年後のありたい姿として長期ビジョン2035と、その実現に向けた次期中期経営計画を策定いたしました。今回策定した長期ビジョンと次期中期経営計画、ならびに同時に定めた基本方針、成長戦略のもと、お客様のお困りごとや社会課題の解決に努め、未来価値創造に挑み続ける企業グループになるべく、より一層精進してまいります。

 当社グループは、社是である「利他」の心で、高い志に基づいた事業の拡大に創業以来取り組んでまいりました。今後もステークホルダーの皆様との調和を図り、持続可能で豊かな社会の実現に貢献いたしてまいります。

 株主の皆様におかれましては、一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう引き続きお願い申し上げます。

2024年5月10日
サンフロンティア不動産株式会社
代表取締役社長
齋藤 清一

サンフロンティア不動産株式会社

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