~ 2025年3月期 第3四半期を終えて ~

 株主の皆様におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

 当期の国内経済は、高水準の企業収益を背景とした設備投資の拡大や円安によるインバウンド需要の急増を受け、緩やかながら回復基調を維持いたしました。一方で、物価高の影響による個人消費の低迷が続くとともに、金融政策の正常化が進む中、金利変動の影響を受けやすいとされる不動産業を営む当社グループにとって、先行き不透明な事業環境が続いております。今後も、日銀の政策動向や米国の経済指標・政策の行方を含む、グローバルな政治・経済情勢を注視してまいります。

 こうした中、当社グループは「利を求むるに非ず、信任を求むるにあり。変わるのは自分、お客様視点でお困りごとを解決する、期待以上で応える」という大方針の下、事業を進めてまいりました。当期の業績は、売上高60,501百万円(前年同期比2.8%減)、営業利益11,970百万円(同15.5%減)、経常利益11,414百万円(同17.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益7,855百万円(同19.4%減)となり、前年同期において大型のオフィス物件やホテル物件の販売があった反動から、前年同期比で減収減益の進捗となっています。しかしながら、今期の計画では、物件売却が第4四半期に集中していると同時に、発表日現在での物件売却(契約ベース含む)が通期業績予想(売上総利益)に対して90%超まで進捗しており、計画達成に向けた確かな手応えを感じております。また、物件の仕入れも順調に推移しており、次期中期経営計画の期間中に持続的な成長を遂げるべく着実な準備を進めています。不動産サービス事業では、売買仲介事業やサブリース事業を中心に業績を伸ばしつつ、ストック型事業として安定的な収益基盤を強化しております。ホテル・観光事業においては、ホテル運営事業がM&Aによる運営ホテルの増加に加え、インバウンド需要の拡大といった堅調な市場環境の追い風を受け、大幅に事業を伸長させています。ホテル開発事業では、全国各地で多数のホテル開発計画を推進するとともに、M&Aを活用した運営ホテル数の拡大を図り、未来の事業基盤を着々と構築しています。

 ここでは、第3四半期における特徴的なトピックスを2点ご紹介いたします。

 一点目は、リプランニング事業において特徴的な商品化を進めてきた物件の販売です。本物件は、コロナ禍において新たなオフィスの形を模索する中で、「築80年のニューヨーク・ブルックリンの倉庫」をテーマとして、建物全体に日本国内の有力アーティスト10名が手掛けたアート(壁画)を施し、日本初の「アートで部屋を選ぶ」一棟シェアオフィスとして商品化を進めてきました。そして、その唯一無二の価値を感じていただいた多くの投資家の方からご購入申し込みを頂戴し、販売させていただきました。この結果は我々にとって従来の常識感に囚われず、型に嵌らない視点で商品化された不動産を求められるお客様が確実に存在することを実感する貴重な経験となりました。

 二点目は、ホテル運営事業の好調についてです。2023年5月に新型コロナウイルス感染症の分類が5類へ移行したことで、ホテル運営事業の復調が加速したことはさることながら、コロナ禍の厳しい事業環境下で進めた改革による体質改善と、他社との差別化戦略が奏功し、コロナ禍前を超える高い収益性を実現しています。特に、空庭テラス京都では、2024年10月~11月に驚異的な客室稼働率100%を達成すると同時に、客室単価においても同エリア・同クラスのホテルの中で最高水準を記録するなど、高い評価を得ています。

 これら2つの事例に共通するのは、コロナ禍という厳しい事業環境下においても、守りに入ることなく挑戦を続けた点です。コロナ禍においても当社は決して怯まず「変化・挑戦・創造」をスローガンとして掲げ、果敢に取り組んでまいりました。社名の由来の一つである「開拓者精神」を忘れず、今後も挑戦を続け、新たな価値を社会に提供してまいります。

 さて、今期は現行の中期経営計画における最終年度にあたり、本年4月からは次期中期経営計画が始まります。不動産市況や金融市況の変動など、常に先行き不透明な事業環境ではありますが、リスク対策を講じながらも中長期的な成長を見据え、新たな取り組みや施策を進めてまいります。そして、地に足のついた各種の施策を通じて地力を高め、一過性ではない持続的な成長を実現し、株主の皆様のご期待にお応えしてまいります。

 当社グループは、社是である「利他」の心で、高い志に基づいた事業の拡大に創業以来取り組んでまいりました。今後もステークホルダーの皆様との調和を図り、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 株主の皆様におかれましては、引き続き一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2025年2月6日
サンフロンティア不動産株式会社
代表取締役社長
齋藤 清一

サンフロンティア不動産株式会社

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