TCFD提言に基づく情報開示 Information Disclosure Based on the TCFD Recommendations

TCFD提言に基づく情報開示のお知らせ

2024年6月26日
サンフロンティア不動産株式会社

サンフロンティア不動産(以下、当社)は、経営理念、企業哲学に基づき、社会課題の解決に資する活動をより強力に推進し、持続可能な社会の実現への貢献と、中長期的な企業価値の向上を目指すため、2021年10月1日付で「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。以下、「サステナビリティ・ビジョン」を制定し、各重要課題に対応した具体的施策とKPIを定め、サステナビリティ経営を推進しています。

サステナビリティ・ビジョン

私たちは、社是である利他の心を大切に、事業活動を通して持続可能な社会の実現に貢献していきます。

サステナビリティの重要課題(マテリアリティ)

サステナビリティ・ビジョンの実現に向けて、取り組むべき重要課題
「環境保護」 「地域創生」 「人財育成」

本資料においては、当社のサステナビリティ活動のうち、気候変動・環境に関わる項目に関し、「TCFD提言が推奨する情報開示項目」に則りご説明いたしております。TCFD提言は、気候変動に伴うリスクと機会が財務を含む会社経営にどのような影響を及ぼすかを的確に把握すべく、4つの開示要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って情報開示することを推奨しています。当社は、TCFD提言が求める4つの情報開示項目に基づいた情報開示の更なる拡充に、継続して取り組んでまいります。

i. ガバナンス

当社では気候変動・環境への対応を経営上の重要課題と認識しています。その諸課題についてはサステナビリティ委員会がリスク検証委員会と連携し、気候変動に係るリスクや機会を取りまとめ、対応策を検討し取締役会へ定期報告します。取締役会は業務執行部門で論議・報告された気候変動課題に関する取り組み施策の進捗を監督し、関連課題に関する事項を少なくとも年に1回以上議題としています。

代表取締役社長は、諮問機関であるサステナビリティ委員会やリスク検証委員会より気候変動関連の取り組み状況について報告を受け、気候変動リスクを含むリスク評価および管理に対する最高責任を負います。

サステナビリティ推進体制

サステナビリティ推進体制における会議体および役割

組織・会議体 役割
取締役会 サステナビリティ委員会より気候変動等に関するリスク管理の状況と対応について報告を受け、施策の進捗を監督。
代表取締役社長 諮問機関であるサステナビリティ委員会より気候変動関連を含む、サステナビリティ活動全般の取り組み状況について報告を受ける。気候変動リスクを含むリスク評価および管理に対する最高責任を負う。
リスク検証委員会 代表取締役社長の諮問機関として気候変動を含む包括的なリスクへの評価を協議する。リスク管理委員会で報告されたリスクについて検証し、リスク管理委員会を通じて事業部門への対策を指示する。
リスク管理委員会 気候変動を含めた事業におけるリスクの総合的な管理および対策を協議する。毎月開催。
サステナビリティ委員会 代表取締役社長の諮問機関として気候変動対策を含むサステナビリティ活動を推進。リスク検証委員会、リスク管理委員会と連携し、各事業部門や各グループ会社からの気候変動等に係るリスクや機会を取りまとめ、対応策を検討し取締役会に定期報告をする。年4回開催。

ii. 戦略

当社では、TCFD提言に基づき、気候変動関連のリスク・機会の把握を目的にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき1.5°Cシナリオと4°Cシナリオを定義し、2030年時点で事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価しました。

シナリオ群の定義

設定シナリオ 1.5℃ シナリオ 4℃ シナリオ
世界観 日本政府により炭素税の導入等、厳しい気候変動対策が推進され、抜本的な社会変革が起こり、プラスチック規制や気候変動関連情報開示への対応が求められる。
一方で、洪水・浸水等、自然災害の被害は限定的なものに留まる。
政府による、現行を上回る気候対策は実施されず、気候変動対応は求められない。
一方で、気温上昇の影響による渇水、洪水などの異常気象が顕在化し、拠点が被災、対応コストや被災時の回復費用が見込まれる。
参照シナリオ IEA The Net-Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)/ IEA World Energy Outlook 2021/ IEA World Energy Outlook 2018/ IPCC AR6 SSP1-1.9 IEA World Energy Outlook 2021/ IEA World Energy Outlook 2018/ IPCC AR6 SSP5-8.5
特徴 政策などに関連する移行リスクが顕在化しやすい。 異常気象などに関連する物理リスクが顕在化しやすい。

リスク機会の特定及び評価

当社の不動産再生事業、不動産サービス事業、ホテル・観光事業を対象として、気候変動に関連する移行・物理リスクを精査し、当社事業への影響度を評価しました。移行リスクでは政策・法規制から市場の変化まで、物理リスクでは急性物理リスクと慢性物理リスクなど、さまざまな項目について検討を行いました。特に当社に影響度の大きいと判断したリスク・機会について対応していきます。

対象範囲

不動産再生事業、不動産サービス事業、ホテル・観光事業

影響度
  • 大:影響度は非常に大きい(売上高の19%以上)
  • 中:影響度は大きい(売上高の 10〜19%)
  • 小:影響度はあるが限定的(売上高の10%未満)
リスクの発生時期
  • 短期:「1年以内」
  • 中期:「1〜5年以内」
  • 中長期:「5〜10年以内」
  • 長期:「10年超」
リスク機会一覧

当社で認識しているリスク・機会のうち、事業への影響度が「中」以上のものを記載しております。

大区分 中区分 リスク・機会の内容 事業及び財務への影響 リスクの
発生時期
1.5℃ 4℃
全体
移行
リスク
評判 消極的なESG対応に対するステークホルダーの懸念 - 中長期
不動産再生事業
移行
リスク
政策規制 修繕において満たすべきエネルギー効率基準が引き上げられることで、追加的な設備投資コストの発生 - 短期
物理
リスク
慢性 所有不動産における空調設備増強の費用増加、エネルギーコストの増加 中期
機会 製品と
サービス
リプランニングにおける物件の環境性能の向上によって、資産家、ビルオーナーへの販売価格の向上 短期
ホテル・観光事業
移行
リスク
政策規制 環境性能の高い建築を試行する傾向が高まり、環境性能の高い資材不足、工事の集中による人件費の高騰 - 中期
機会 製品と
サービス
ホテルが所在する地域での自然の保全と共存など地域貢献を図ることで、イメージ向上・宿泊客増加 中期
財務影響額

当社で認識しているリスク・機会のうち、財務影響を算定した結果を記載しております。

リスク/機会
項目
事業インパクト 算定方法(※1) 財務影響額
2030年(億円)
影響度
1.5℃ 4℃
炭素税 炭素税の大幅引き上げにより税負担増加 【全社】
当社におけるCO2排出量 × 排出量当たりの炭素価格
3.23
炭素税 炭素税の大幅引き上げにより、排出源単位の大きい原材料のコスト上昇 【不動産再生】
原材料の投入コスト(※2) × 原材料の排出原単位 × 排出量当たりの炭素価格
1.93
自然災害による売上損失 自然災害により、事業所が被災し、事業活動の中断による売上損失 【不動産再生】
(賃料収入への影響は算定困難なため、未算定)
【ホテル運営】
一日あたりの売上損失 × 最大操業停止日数(※3) × 損害割合(※3)
1.97
(発生確率 1.4%)
1.97
(発生確率 2.8%)
海面上昇による洪水被害 海面上昇に伴う高潮や豪雨による、所有不動産の洪水被害の発生 【不動産再生】
(保有物件は都内所在により高潮影響は微小のため、未算定)
【ホテル運営】
海面上昇に伴う浸水深レベルごとの「修繕コスト × 所有不動産数(※4)
0.62
(発生確率 1.4%)
0.62
(発生確率 2.8%)
物件の販売価格の向上 物件の環境性能の向上によって、資産家・ビルーオーナーへの販売価格の向上 【不動産再生】
BELS認証物件 延床面積(※5) × BELS認証と通常物件の家賃差異(※6)
0.81 0.81
  • ※1 基準年は2022年度/2030年の影響額はCAGR(年平均成長率)を反映して算定
  • ※2 排出原単位の大きいセメント、生コンクリートについて、LCAツールを利用して基準年の販売物件延床面積から投入量を算出
  • ※3 運営ホテルについて高潮発生時の浸水深レベルを調査して決定
  • ※4 運営ホテル(所有物件)について高潮発生時の浸水深レベルを調査
  • ※5 基準年のBELS認証物件 延床面積
  • ※6 基準年のBELS認証物件とその近隣の当社RP物件と2024年3月31日現在の坪単価差異

iii. リスク管理

当社はサステナビリティ体制構築のため、全社的なリスク管理に関する規程を定め、気候変動課題を含めたサステナビリティ全般に対応するため「サステナビリティ委員会」を設置しています。気候変動に関するリスクについては、リスク検証委員会がリスク管理委員会より報告されたリスクについて評価を行います。抽出及び評価されたリスクはサステナビリティ委員会による対応策の検討後、各事業部門やグループ会社によるリスク対応が行なわれます。また、取締役会は、リスク管理委員会より気候変動リスクを含む包括的なリスク管理の状況と対応について報告を受けます。

iv. 指標と目標

当社は、気候変動関連リスク機会の評価指標として、温室効果ガス排出量の算定を行なっております。2021年度、2022年度は、Scope1にあたる「燃料の使用(CO2)」、Scope2にあたる「他人から供給された電気の使用(CO2)」、そしてScope3にあたる「その他間接排出量(CO2)を算定対象としています。今後も温室効果ガス排出量の把握を継続し、対象範囲の拡大や、削減していくことができるよう、体制づくりと目標設定を進めてまいります。

温室効果ガス排出量
(連結)

単位:t-CO2e

2021年度
年間排出量
2022年度
年間排出量
2023年度
年間排出量
Scope1 ※1 4,088.5 3,237.9 3,391.9
Scope2 ※2 6,692.5 7,633.7 7,281.2
Scope3 ※3 194,929.0 152,744.0 148,333.7
(単体)

単位:t-CO2e

2021年度
年間排出量
2022年度
年間排出量
2023年度
年間排出量
Scope1 ※1 0.0 0.0 0.0
Scope2 ※2 196.3 195.1 88.0
Scope3 ※3 194,929.0 152,744.0 148.333.7
  • ※1 ガス、ガソリンの使用による排出量
  • ※2 電力使用による排出量
  • ※3 その他間接排出量
    • 算定期間: 2021年度(2021年4月〜2022年3月)、2022年度(2022年4月〜2023年3月)、2023年度(2023年4月〜2024年3月)
    • 開示対象: 国内・海外連結子会社(Scope1・2)、不動産再生事業(Scope3)
    • 算定方法: マーケットベース
      ※算定の方法には、ロケーションベース(日本全体の排出平均原単位を使用して算定するもの)とマーケットベース(電力会社ごとの排出原単位を使用して算定するもの)のうち、後者のマーケットベースを採用しております。
      Scope2で使用した排出係数: 電気事業者別排出係数 令和2年度、令和3年度、令和4年度各実績
温室効果ガス排出量削減目標(2022年度比)
2030年 2050年 2023年度
実績
Scope1,
Scope2
合計
22%削減
(年次2.7%減)
カーボンニュートラル 1.8%減

以上