Vol. 024
銀座に育てられ、30代で店長に抜擢。
仕事と子育て、両方に力を注ぐことで
成長を続ける、新しいリーダーの姿
サンフロンティア不動産 銀座店 店長
小川 達也Tatsuya Ogawa
2023年1月13日
Keywords
大通りには華やかな高級ブランドショップが立ち並び、一歩路地に入れば、趣ある老舗の飲食店や小物店が佇む街、銀座。コロナ禍の影響で停滞していた時期もあったが、入国制限の解除や有効な感染対策の広がりなどにより、以前の賑わいが戻りつつある。
「移ろうもの」と「不変のもの」、「最先端」と「伝統」が共存するこの街で、サンフロンティア銀座店は街の変化を見守ってきた。小川達也は、14年間銀座ひと筋不動産業に勤しみ、6年前からは銀座店長を務めている。一方で、仕事と同様に私生活にも全力を尽くし、妻と協力しながら3人の小さな子どもの子育てに奮闘するイクメンパパの側面も持つ。
数多くのビルオーナーに寄り添ってきた彼だからこそ感じる銀座の魅力や街の変化、そして、仕事と私生活に邁進する人生のバイタリティーについて聞いた。
最悪の時期に、銀座ではじまった社会人生活。右も左もわからぬまま必死に駆け回った
小川が大学を卒業し、サンフロンティアに入社したのは2009年。より条件の良い不動産会社からも内定を得たというが、社員同士の距離が近く、個人の成績よりもチームで結果を出す風土に魅力を感じ、入社を決めた。
「不動産会社としては珍しいくらい(笑)、会社を訪問して感じたのは社員の方々の仲が良いということ。そしてチームでお客さまに貢献する環境が直接伝わってきたので『ここで働いたら楽しそうだな』と感じたんですね。あとは、学生時代から仲間と飲みに行ったり、旅行に行ったりするのが好きで、動いていないと気が済まない性格なので、サンフロンティアでは会社のイベントや飲み会が多いのでそれもいいなと(笑)」
“楽しく働けそう”という想いでサンフロンティアへ入社した小川は、銀座店へと配属された。しかし、ときはリーマンショック直後。多くの業界が不況におちいり、とりわけ不動産業界は甚大な影響を受けた。サンフロンティアでも基幹事業である都心のバリューアップ事業を、ほとんど行えない状況だったという。
「物件を購入することができず、売却するにも大変な時期でした。入社して5年間くらいは、バリューアップ事業はほぼできませんでしたね。ですから銀座店では、ビルの空室へのテナント誘致といったビル経営の支援(リーシングマネジメント)を中心に、ビル経営に関するアドバイスと銀座のビルオーナー様が抱える困りごとを解決する事業がメイン。動いていないと気が済まない性格の私でも、『かなり動いたな』と思うくらい、当時はビルオーナー様やテナント様をたくさん訪問しました」
幸か不幸か、自力ではどうしようもない“最悪の不況”という経済状況を、右も左もわからない新入社員の時期に経験した小川。足を棒にして銀座を駆け回り、サンフロンティアと小川達也の名前を広めていった。この経験は、小川のキャリアを大きく助けることになる。
特殊な地域性のある銀座で、少しずつ少しずつ信頼を得る道のり
不動産事業において、銀座には特殊な地域性がある。
例えば“渋谷なら東急不動産”、“日本橋なら三井不動産”といったように、都心の各主要都市は大手デベロッパーの影響力が大きい。しかし、銀座にはそこまで大きなデベロッパーはなく、代わりに自治組織である23の町会に加え、商店街組織の通り会や業種業態での組合などで構成された組織などの存在がある。銀座に関係する皆で街をよりよくしていこうと考える銀座ならではの特性。また、この地には長い歴史を持つ、なかには江戸時代から続く地主なども少なくない。
そのため、大手デベロッパーの熟達ビジネスパーソンであっても銀座へ進出するのは難しく、昨日今日来たばかりの新参者がすんなりと入り込むのはほとんど不可能なのだ。なかには古くから付き合いのある不動産会社のみに情報を提供するオーナーや、電話がなかなか繋がらない地主もいたという。そんな場所で、小川は真摯に“ビジネスの本分”をまっとうすることで信頼を勝ち取っていった。
「すぐに信頼を得られるような魔法の方法なんてありませんよ。お客さまのタイミングを見て訪問を重ね、お客さまの役に立つ情報を提供しながら少しずつ少しずつ、という感じです。月並みな言い方ですが、自分ではなく、常に『相手を幸せにするために動く』ことが、信頼していただくには大切だと思います。
そして、私が意識したのは、訪問の間隔を短くすることですね。数日の間に何度もお客さまのもとを訪れました。例えば3日間連続で訪問すると名前を覚えてくださることが多かったと思います。とは言っても、お会いすることすら難しいお客さまもいらっしゃいますので、厳しい部分もありますが(笑)
覚えていただければ、その後一週間空いたとしても、『また来たね』なんて言われながらコミュニケーションを積み重ねていくことができます。もちろん私1人で取り組んでいたのではなく、当時の先輩と相談をしながら、徐々に自分のことを知っていただきました」
サンフロンティアでは2〜3年で異動になることが多いのだが、小川が14年間ずっと銀座店に在籍しているのは、長い時間をかけて築いたビルオーナーや地主たちとの無二の信頼関係があるからだ。
現在、小川のもとには信任を得たオーナーなどからさまざまな相談が寄せられる。父世代のお客さまから「子どもに物件や土地を引き継ぐから挨拶させてよ」という連絡が来ることもあり、家族ぐるみでの付き合いも生まれるようになった。その結果、リーシング事業に加え、リーマンショックの直後には困難になっていた仕入れやリニューアルなどバリューアップ事業につながる相談も増えているという。
「守りながら変わっていく」銀座のムーブメントを牽引する
「コロナ禍でビルの空室が増えた影響で、『このタイミングで建て替えをしよう』と考えるオーナー様が多く、銀座では開発をしている物件が増えているんですね。同時に、私が現在一緒に仕事をしているお客さまは30〜40代くらいの方々が多く、数年前と比べるとかなり世代交代が進んでいます。この2年くらいで銀座では新陳代謝が起こりはじめ、銀座店でも、ビルを購入させていただくなどバリューアップ事業にも取り組めるようになりました」
社会人になった瞬間から14年間もの間、同じ場所で仕事を続けている小川にとって、銀座は何者でもなかった自分を“一流のビジネスパーソン”に育ててくれた街ともいえる。銀座で成長をしてきた小川は、オーナーや地主への貢献とともに、現在では街そのものの発展にも目を向ける。こうした銀座への恩返しともいえる“銀座愛”の気持ちが小川の情熱の源泉の1つなのだ。
「銀座を盛り上げていくために、オーナー様や地主様を招待して“感謝の夕べ”という会を定期的に開催しています。地域の皆さんのつながりを強め、情報交換をもっとオープンにして、閉鎖的な面のあった銀座の不動産業界そのものを変えていきたいですね。
オーナー様たちの輪を広げ、一緒に盛り上げたいと思う人を増やせれば、銀座はもっと元気になり、進化していくと思うんです」
ほかにも、サンフロンティアでは、銀座で開催されるイベントへの協賛や手伝いなど銀座を活性化するためのさまざまな取り組みに参加している。
とはいえ、長い歴史のある銀座には守るべきルールもある。たとえば、銀座のビルに新たなテナントが入ったとき、外観デザインなどについては「銀座デザイン協議会」の了承を得る必要がある。「1人のビルオーナー様で決めるわけではなく、街全体で銀座の上質で洗練されたイメージを守っているんですね。街の価値を保つために必要ですし、銀座らしくて素敵なことだと思います」と小川は言う。
今まさに、銀座では「守りながら変わっていく」という、一見相反するような要素を含んだ大きなムーブメントが起こっている。その一端を担っているのが、小川であり、サンフロンティアなのだ。
子どもと共に成長し、仕事を思いっきり楽しみたい
銀座店の店長として忙しい日々を送っている小川にとって、人生の楽しみであり、大きなリフレッシュになっているのが3人の子どもの子育てだ。全員男の子でまだ保育園児。看護師の妻と協力しながら子育てをしているが、その忙しさは、ある意味仕事以上だろう。
朝は6時に起床し、起きない子どもをなんとか起こし、準備をさせて7時には車で保育園に送る。車を置きに一度帰宅し、そのまま出社。その日の業務を終え、家に着くのは21時。その頃、妻もまた仕事を終え、子どもの食事やお風呂を済ませて子どもたちを寝かしつけている。まだまだ小川の一日は終わらない。子どもが“暴れて(小川談)”、ぐちゃぐちゃになった家の掃除をし、大量の食器の洗い物と洗濯をする。平日はそれが毎日だ。
急な発熱で保育園から連絡がくることもあり、妻が行けないときには小川が迎えに行く。そんな日はパソコンを持ち帰り、子どもの看病をしながら家で仕事する。
「銀座店のメンバーには理解してもらっているので、すごく助かっていますが、めちゃくちゃ大変です(笑)。ただ子育てをしていると、子どもに注意する立場である自分自身が、きちんとした人間にならなきゃと思いますし、子どもにも理解できるように伝え方を工夫するなど、ビジネスパーソンとしても、人間としても、ものすごく成長させてもらっている実感があります。愛しい寝顔を見ると、パワーをもらえますしね」
こうして、子どもから力をもらっている小川が、現在仕事で目指しているのは、周囲の人が「仕事って楽しい」と思える環境にすることだという。
「私くらいの年齢になると、『仕事は仕事』と割り切って考える人が多いと思うんですが、私は、現在でもいろいろなお客さまと接するのは楽しいし、メンバーと一緒にプロジェクトを成し遂げていくことが楽しい。こうした“仕事の楽しさ”をもっと周囲と分かち合えるような環境をつくっていきたいですね。あまりこんなことを言う人はいないかもしれませんが、いつか子どもから『お父さんいつも楽しく働いているね』と言われたらうれしいです(笑)」
取材では楽しそうな笑顔を見せながらも、質問には常に真剣に真摯に答える小川。外見はまだまだ若いが、その受け答えには不思議な説得力があった。不動産業界にとって最悪の不況を乗り越えた経験が、そして支店長としての責任が人としての厚みをつくっていったのかもしれない。
きっと小川なら、銀座を元気にすることも、周囲が仕事を楽しめるようにすることも、飄々と実現していくのだろうと感じた。
Next Frontier
FRONTIER JOURNEYに参加していただいた
ゲストが掲げる次のビジョン
“銀座という街を盛り上げ、仲間に「仕事って楽しい」と思ってもらえる環境をつくる”
編集後記
銀座で社会人として歩みはじめた小川。オーナーとのエピソードや、子どもや家族のことを語るときの目は、銀座の街並みのような凛々しい煌めきを放っていました。30代にして支店長を担う小川は、しなやかで自然体。バリバリのビジネスマンとして成長したというより、子育ても仕事も楽しみながら、お客様に寄り添うという独自のスタイルを確立していました。また今回の取材で、不動産業界から見た銀座の特殊な地域性も垣間見られる、興味深いJourneyが語られました。地域を守りつつ進化を続ける銀座と、そこで活躍する小川の未来が楽しみです。
この3月、FRONTIER JOURNEYのライブ配信版 FRONTIER JOURNEY Live! がスタートしました。
第1回のテーマは「東京を世界一愛されるグローバル都市へ!『銀座』流の街づくり」です。
ご視聴はこちらから:第1回 FRONTIER JOURNEY Live!
いかがでしたでしょうか。 今回の記事から感じられたこと、FRONTIER JOURNEYへのご感想など、皆さまの声をお聞かせください。 ご意見、ご要望はこちらfrontier-journey@sunfrt.co.jpまで。
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